「なぜ理学療法士の給料は上がらないのか」
日本の医療費は年々増加しています。普通に考えれば病院で使うお金が増えているので、そこで働く理学療法士の給与もあがっていくのでは?と考えがちです。
物の価値は、需要と供給のバランスで成り立っています。患者さんが多く病院を訪れるので需要は増えます。一方で毎年、新たに理学療法士として働く人数も急増しており、年間に新たに10,000人です。供給は急増といえます。
つまり国の予算が増えても(患者さんが増えても)理学療法士の総数がそれを上回る増加率とすると、一人あたりの理学療法士の価値は均一化されます。ある意味、若い世代への投資ともいえるかもしれません。
医療費の中でもリハビリテーションにかける比率が増えていないのも原因です。介護領域で働く理学療法士は行政に所属していることもあります。その予算は医療ではなく介護予防として。
現在、介護予防は地方自治が担っていることが多いので、その管轄は総務省。理学療法士の管轄は厚生労働省というイメージがありますが、総務省も関係してきていることも問題を複雑にしているともいえますね。
医師や看護師、薬剤師、臨床検査技師、栄養士、医療事務と病院の中にいる職種はたくさんです。チーム医療がうたわれ、でてくる予算を分配しないといけなくなったことも要因です。
このような理由から理学療法士の給料が上がる事は無いと考えられます。
政治家はよく「日本の医療は世界に誇れる健康保険システムを有している」そうおっしゃいます。国の年間の支出のうち約半数以上が医療費に使われて、それが本当に世界に誇れる医療といえるのでしょうか。
医学部の定員はなかなか増えません。需要と供給を考えると、今いる医師たちが給料を下げたくない、と考えれば増えてほしくないと考える医師が多くなるでしょう。
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